失翼の天使―wing lost the angel―
凄いのはそれだけでなく、彼女は医師でもなり手が少ない産科での経験もあるのか、助産師の資格もあり、名札に印されてる。

中に戻り、私は鷺沼先生の隣に座り、頭の中がお花畑じゃないかと思うほどに浮かれ気味の大池主任の袖や名札を確認。

看護師免許が額に入れられて下がる壁を見るも、大池主任の名はそれだけしかない。

姉は看護師免許に始まり、助産師や認定ナースの資格表がいくつかあり、仙田さんも三つある。



「これが個人の許さ?」



「ん?どうかしました?優海先生」



「ちょっとお訊ねしても良いですか?」



「何なりと!私、賴真……鷺沼先生よりも現場経験が長いですから、頼りになると思いますよ?」



「では、認定ナースの資格はお持ちですよね?免許かバッチ、どちらでも良いので見せて下さい」



何が“現場経験が長い”よ。

医者と看護師は違う。

それを偉そうに。

個人の許さか、鷺沼先生と仲が良いみたいだし、甘やかされてるのかも知れない。

私の差し出す手には何も乗らず、大池主任は口を固く閉ざし、困ったような顔をして、鷺沼先生に助けを求める。

…それで現場に出動?

甘いわ、この病院。

そして、姉も兄もね。
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