失翼の天使―wing lost the angel―
「お、おはようございます;;」



「私たちの事まででなく、親の事まで随分と酷い言い方くれてたわね?大池さん」



「え……?や、それは……こんな噂話が出てると、賴……鷺沼先生に報告をと;;」



「それは優しいですね。私より長く生きてるだけの事あります」



「そんな……っ、」



「何て言うと思います?」



「――…っ!;;」



「うちの父親、A大学病院の医学部長なんですよね。それが裏社会のボスですか」



「い、医学部……ちょ……?;;」



「裏社会って……ハハッ。事実を知る鷺沼先生にそんな話をして大丈夫ですか?別に変な噂を流されても気にしませんけど、事実を知ってる人にそんな戯言を……。恥を知ったらどうですか!」



「――…、」



「……行きますか、先生」



「あぁ」



ついに大池主任へ身分を明かし、そして黙らせた。

切り札的な事を言ってしまったけど、遅かれ早かれいつかは父親の役職を明かして大人しくさせるつもりでは居た為、鷺沼先生に声を掛けてナースステーションを出た。

カンファレンスルームで30分間のミーティングなどを行い、松枝君と鷺沼先生と3人で夜勤業務へと入る。
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