失翼の天使―wing lost the angel―
「今のはご内密に!;;」



「言えるかよ……」



「引かないで下さいよ!先生っ!;;」



「引くだろ……」



「先生!;;」



「…………」



遠くを見ながら、内緒にして欲しいらしい仙田さんに答える鷺沼先生。

完全に引いてる彼の腕を掴んで縋る仙田さん。

兄の隣より似合い、何でか無性に腹立たしい画である。



「どうしようかなー」



…意地悪な兄とドMな妹だ!

と、言い聞かせてみるもダメだ。



「…………?;;」



「……優海、顔が怖ぇよ;;」



「元からこんな顔じゃないですか」



「先生、妬いてます?;;」



「いや?どうぞ仲良くされてては如何ですか?」



「妬いてますよ、それ;;」



「別に」



「「……兄妹そっくり;;」」



「似てないからっ!!」



人が悶々としてる時に、何を言い出すのか。

私は兄のような冷めた人間ではない。

本当は笑い上戸で、泣き上戸……。



「はぁ……っ、」



「「…………?」」



人の性格は変わりたいのに変われない。

でも、戻りたいのに戻れない事もあるんだ。

…何でこうなったんだろう。

どうして、素直になれないのか。

年相応の落ち着きを持ったと言えば良いのかどうか。

自分が自分に疲れて来ちゃったな……。





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