失翼の天使―wing lost the angel―
5†医療ミス
「こんばんは!」
「……明日菜?」
「お疲れ、優海。お兄さんもその節はお世話になりました」
あれから数週間が経ち、気付けば5月が終わろうとして居た。
段々と湿気が増え、肌寒さもなくなり、白衣も羽織らず過ごす日々。
ミーティングを終え、ナースステーションに戻ると、明日菜が待合に居た。
駆け寄って来て、差し出された紙袋を受け取ると、丁寧に兄へと頭を下げた明日菜。
紙袋の中身は菓子折と白い封筒。
「……招待状?」
お礼状かと思えば、だ。
「うん。森本-モリモト-が、今の職場も落ち着いたし、院長も辞めたからって」
「そっか。ずっと隠してたもんね」
「本当に感謝してる。ありがとね」
「ううん、そんな……。おめでとう!」
医大生の頃から、明日菜は現小児科医の森本先輩と付き合って居た。
一つ上で、背が低くて格好いいより可愛いがしっくり来る人で、2人が付き合う前は、よく明日菜と先輩のところに押し掛けてはご飯を奢らせてた。
ちょっと弱く、弄り甲斐のある人。
ついに身を固める事にしたんだね。
「あ、それでね?披露宴をBARを貸し切って、みんなでワイワイ楽しくやる事にしたのよ!森本の彼女の居ない友達がたくさん来る予定だから、目一杯オシャレして来て?」
「意義あり!!」
…はい?;;