失翼の天使―wing lost the angel―
何を言うのか、この人は。

本当、餓えてる感ハンパない。



「優海は足りるのかー。そうかそうか!」



「意地悪するつもりですかっ!」



「てか、俺がずらせば早くない?」



「もっ――!!;;」



さすがにここでディープなんて事はなかったけど、唇が触れ合ってるだけでもドキドキで。

どこで誰が見てるかもわからない場所で、私たちは何をしてるのか。



「好きだよ、優海」



「私も、大好きです」



「早く突き破る日が来ると良いな」



「耳元で言う事じゃないでしょ!!;;」



「しょうがねぇよ。餓えてるし」



「優海先生が可哀想な位にね!」



「「…………;;」」



…嫌だ、このカップル;;



「私もちゅーしたいなぁ」



「餓えてねぇのに、外でしねぇよ」



「じゃあ、帰ってからね?」



「さぁな」



言うだけ言って、去って行くバカップルに、掛ける言葉はなく先生と離れた。

救命の前で別れ、私は姉と兄からのからかいに負けないよう、深呼吸をしながらナースステーションに入る。



「先生ぇ」



…く、クソぉ;;

副島君にまで話が言ってるのか;;

明日には松枝君や武藤君。

宮本先生まで行ってしまうな;;

バカ姉とバカ兄のせいで;;

…口軽がっ!!!!




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