失翼の天使―wing lost the angel―
『あのさー、お願いがあるんだけど』



「嫌だ」



『まだ何も言ってねーじゃん!ちゃんと聞いてよ!』



「……何?」



『あのさー、日曜日って空いてる?』



「まぁ、今週の日曜日なら。寝たいけど。かなり寝たいと思うけど」



『うん。だろうね!けど、母さんよりかなり若いし、元気っしょ?』



「前置き長いって」



『遊園地行こ!てか、俺ら相当やらかしてるから、親なしでの外出禁止されてんだよねー。て事で、日曜日の9時に家に来て!頼んだよ!』



「はぁ!?……って、切るなよ;;」



…長い前置きの次は言い逃げって;;

“相当やらかしてるから”って何よ。



「優海先生、その電話って甥の子さん?」



「何か知ってるの?」



「はい!ユウ君にも電話があって、遊園地の付き添い頼まれて、“仕事終わりにアホか!お前の母親が歳なら俺もだろ!”って怒って断ってました。何かお友達同士で彼女を連れてグループデートして補導されたりして、今は親なしで外出が出来ないみたいですよ?」



「はぁ?;;」



我が甥ながら、何をしてるのか。

幼稚園から大学までの一貫校に通う湊。

規則が厳しいし、喋り方はともかく真面目に学生生活を送ってると思ったのに情けない。
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