再殺動
健司がウェブサイト上に投稿したものは瞬く間に拡散され、ネットニュースになった。

トムは嫌悪感しか感じなかった。
道葉有の彼氏は俺だ。同じモデルなのに、俺のことは何一つ出ない。

東尾健司には瑠璃という彼女がいる。瑠璃も俺も道葉有と健司には嫌な思いをさせられた。

あの二人は俺たちがいながら平然と二股をかけていたのだ。

それを、『仕事上の切磋琢磨できる仲間』として平気な顔をしてニュースに流している。
道葉有の死さえも自分の好感度を上げるために使っているようにしか思えない。

許さないとか言ってるけど、それは俺だって同じだ。なんで有が朝早く学校へ行ったのか。
そんなもの簡単に分かる。東尾健司に会うためだ。
だとしたら、有を殺したのは東尾健司だとしてもおかしくない。

しかし、それを証明する方法は無い。

唇を噛み拳を握りしめた。

有が殺されて一番辛いのはこの俺だ。あいつじゃない。でも、俺はみんなの前に出て、健司みたいな行動には出られない。

もしそんなことをしたら『あかね』に何をされるか分からない。

今のこの環境だってあかねのおかげだ。
悔しいけれどここで見ているしかないのか。

瑠璃と連絡をすることも本当は許されていない。でも、

瑠璃に連絡しようとスマホのロックを解除したところで、着信が入った。相手は、東尾健司だった。
< 27 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop