お見合い相手はエリート同期

 メールに送られていた会議室へ顔を出す。

「あぁ。おはよ。早いんだな。」

 澤口こそ、昨日遅くに帰ったのに。
 私よりもずっと忙しそうな澤口に申し訳ない気持ちになる。

「どうした?」

「ううん。なんでもない。
 手伝えることはないよね。」

 澤口の近くの空いている椅子へ腰掛けて資料を眺めてみても、私には分からない内容。
 いくら同じ会社でも職場が違うと仕事内容も全然違う。

「あぁ。まぁ。そうだな。」

「あのさ。お弁当。作ってきたの。
 だから……。」

 ため息をつかれて言葉は萎んでいく。

「ごめん。こういうの嫌いだったかな。」

「いや。嬉しいけど。」

「全然嬉しそうじゃない。」

 流れてしまいそうな涙を堪えて「職場の方へ顔を出してくる」と立ち上がった腕をつかまれた。

「違うから。そうじゃなくて。
 尽くされると心配になる。」

「尽くしてるつもりは、ないよ。」

 再びため息を吐いて「無自覚……」とつぶやく澤口に居た堪れない。

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