お見合い相手はエリート同期

「帰らないで。」

「え?」

「え、じゃなくて。」

「あ、うん。帰らないで?」

「側にいて。」

「……側にいて。」

 ……なんのプレイ?

「……ッ。馬鹿らしい。」

「馬鹿らしい?」

「そうじゃなくて!やめだ。やめ。」

「そうじゃなくて、やめだ。やめ?」

「……ったく。」

 こちらをやっと向いた澤口が腕を引いて体を抱き寄せた。
 ふわっと香る澤口のにおいに鼓動が速くなる。

「ワガママ言えよってこと。
 昨日。引き留めたそうにしてたこと気付いてないとでも?」

「そ、それは………。」

 だから「帰らないで」「側にいて」ってこと?

「朱音、疲れてそうだったから帰した方がいいと思って帰したのに、弁当作るとか本末転倒というか。」

「別に寝る間も惜しんで作ったわけじゃないよ?
 どんな大作を期待してるの??」

 そんなことを言われるとプレッシャーで渡せなくなるから!!

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