お見合い相手はエリート同期

「あの、さ。
 部長から小耳に挟んだんだけど。」

「え?はい。」

「高橋さん、見合い相手を探していたって本当?」

「………ッ!」

 あのタヌキジジイ!!!

「ごめん。聞いていいか分からなくて。
 もうずいぶん前に。
 高橋さんだって確証はなかったんだけどね。」

「部長から直接聞かれたわけじゃなくてですか?」

 もしかしてタヌキは筒井さんの方?
 カマかけられたってこと?

「ちょうど高橋さんが部長に何か頼んでいる感じだった時と、部長がいい男いないか探してる頃と被ったから。」

 うわぁ。まんまとはめられた……。

「ごめん。聞かれたくないよね。
 こんなこと。」

「いえ。あの、はい。」

「正直だね。高橋さんは。」

 苦笑する筒井さんに曖昧な微笑みを返す。

< 111 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop