お見合い相手はエリート同期

 自分でメールへ打ちこむのでさえ、嫌な気持ちになりつつ知世へ気持ちを吐露した。

『嫌いって言われた人を信じていいのか分からない。』

 全てはそれに尽きる。

 割り切った関係でいいって思ってはいる。
 形だけの結婚相手でいい。

 だからって形だけでも穏やかに過ごしたいって思ってはいけない?

 澤口の無駄にイケメンな外見に女の影に怯え、どうして結婚したのか不可解に思いながら生活を共にする。

 それでもいいって傾きかけていた気持ちが、筒井さんの一言で簡単に揺らぐ。

 知世には筒井さんに言われたこともメールで送って、知世の意見を待った。

 知世からはもっともなメールが返ってきた。

『気持ちが揺れたのなら、それを澤口くんに正直に言った方がいいんじゃない?
 普通の関係じゃないんだから、そこはフェアにしておいた方がいいと思う。』

 澤口に言うのかぁ……。
 何を?どうやって?

 余計に気が重くなって足がその場から動けなくなった。

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