お見合い相手はエリート同期

「ごめん。
 悩ませるつもりはなかったんだ。」

「筒井さん……。」

 一向に職場へ顔を出さない私を心配してくれたのか、再び自販機の前へ顔を出して声をかけてくれた。

「俺のこと結婚相手として見られなくても食事くらいは行けないかな?」

「お断りします。」

「え………。」

 横から口を挟まれて体を固くする。

 どうして澤口が……。
 遅いから様子を見に来たとでもいうの?

「君は?」

「朱音の見合い相手で今は付き合ってますが?」

 澤口の中で、ハッキリ付き合っていると言える間柄なのかと意外にしか思えない。
 私達の関係はあやふやで……。

「高橋さんは何かに迷ってるみたいだよ?
 君と結婚することに何か不安なことでもあるんじゃない?」

 黙ってしまった澤口が何を考えているのか、とてもじゃないけど澤口の方を見ることが出来ない。

「まぁ今日のところはいいよ。
 俺は高橋さんを困らせたいわけじゃないから。
 返事、待つから急がなくていいよ。」

 穏やかな言葉をかけて筒井さんは去って行った。
 残された私は居た堪れなくて砂になって流れてしまいたかった。

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