お見合い相手はエリート同期

「そう。良かった。」

 安堵したような声を出す澤口が私の頭を撫でる。

「これで結婚できるな。」

 柔らかな微笑みを向ける澤口の手を振り払った。

「待ってよ。
 だって私が選ぶと碌なことなくて。」

 だから割り切った関係でいようって。

「あぁ。そうだな。
 俺も何度も身をもって体感してる。」

 岡本課長のことを言ってるのかな。
 呑気なんだから……。

 でも、そうじゃない。

「普通の人だと思っていた人も私と付き合うとどんどんダメな男に……。
 だから私が好きになっちゃ、いけないのに……。」

 だから割り切って、ただ結婚するだけの相手で良かった。
 それなのに……。

 呆れたような澤口の声が当然の質問を向ける。

「じゃどうやって見合い相手と結婚するつもりだったんだよ。」

「好きに、ならなければいいって。
 割り切って共同生活を送る相手だって。」

 深いため息を吐いた澤口が私の腕を引いた。
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