お見合い相手はエリート同期
「今日、仕事終わりに昨日と同じ場所で。」
耳元で囁かれて慌てて耳を押さえると澤口を仰ぎ見た。
その隙を見逃してくれるわけもない澤口はまた私へ忘れられないような甘い刺激を残していく。
押さえているのとは反対の耳を甘噛みして、それから唇が痺れるほどの熱いキスをすると先に会議室を出て行ってしまった。
私は机と椅子を元どおりにしてから会議室を出た。
うつむいているのに、よほど目立つみたいで道行く人に心配された。
「顔、真っ赤よ?どうしたの?」
だって澤口の囁きが耳に貼り付いて忘れられない。
耳に甘噛みした甘い疼きが……。
エレベーター前で澤口は待っていて、私とエレベーターに乗り込んだ。
もう澤口のすることに抵抗する気力さえも残っていなかった。
「朱音へ罠を仕掛けたつもりが……。」
「え?何が?」
「いや、……。
フッ。俺も余裕ないってこと。 」
ここでも澤口は情熱的に唇を重ねて私を翻弄した。
「……もうヤダ。
溶けてなくなりそう。」
「なくなられたら困るな。」
愛おしそうな眼差しに眩暈がする。
「やっぱり場所変更しよう。
今夜、俺ん家に来いよ。
地図送っておく。」