お見合い相手はエリート同期
部長は饒舌に話してくれた。
「見合い相手を探してるって君の部長に聞いていたから話を出してみたんだよ。
乗り気じゃなかったけど名前を聞いたら乗り気になってね。」
澤口は正確には見合い相手をさがしていたわけじゃなかったんだ。
なんというか、海外赴任するための相手。
「名前を聞いたら……って。」
「面白そうだから会います。ってね。」
何を期待してたのか。
そこからは部長が楽しそうに「上手くいって良かったよ」と話す色んな話を上の空で聞いた。
やっぱり澤口も他の元彼と同じだ。
ダメ男とは言わないかもしれないけど、一番大切なことは相談してくれない。
海外に赴任したい為なんて、ついていくのが前提なのに。
それは大きな変化だ。
ただの結婚とはわけが違う。
海外赴任にただついていく嫁では仕事は辞めなければならないだろう。
仕事、頑張ってるなって言ってくれたのに……。
だから他の女の子と会ってたの?
もっと海外赴任について来てくれそうな子を見つけるために。
私じゃ……役不足だから。