お見合い相手はエリート同期

「だから岡本課長も後輩の女性と男女の関係になってもいいとでも?」

「そうは言ってないよ。
 落ち込んでいるから慰めようと思ってね。」

「だから2人で飲みに行く?」

「同僚としてだ。問題ないだろう?」

「まぁ、そうですね。
 問題ないかもしれません。
 けれど奥様には今日は遅くなるから会社に泊まるとでも言ってあるんじゃないですか?」

「何のことだ。」

 澤口は岡本課長の小さな動揺を見逃さずにたたみかけるように告げた。

「もし、俺達の会話が奥様へ送られたら、勘の良さそうな奥様は何と思われるでしょうね。」

 澤口は携帯を何か操作してボイスレコーダーのようなものを流した。

 携帯から岡本課長の声で『……同僚としてだ。問題ないだろう?』と流れる。

 それを聞いて岡本課長の顔が険しい形相に変わった。

「送ったりしませんよ。
 このまま何も言わずに朱音から手を引いてくれたら。」

 岡本課長は澤口を睨みつけてから踵を返すとその場から立ち去った。

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