お見合い相手はエリート同期

 久しぶりの同期会は澤口の人柄のせいもあるのかいつも以上にたくさんの人が参加していた。

 大広間のような宴会会場に人が溢れかえっている。

 私達は澤口と、もはやなんの接点もなくて、遠く離れた席に座った。

 みんなに囲まれている澤口を微かに視界の端にとらえるだけで胸が苦しい。

 吹っ切るなんて笑えてしまう。
 当分は無理なくせに。

 澤口から遠く離れた席にいても周りの人達の話題はやっぱり澤口だった。

「澤口くん、また海外へ行っちゃうんだね。」

「ねー。寂しくなるよね。」

「帰ってきたからアプローチのチャンスだって思ってたのに〜。」

 あぁ。そうか。
 やけに女の子の参加が多いと思っていたけど、あわよくばって子もいるのかな。

 そんな子達も海外へ行くらしいという噂に肩を落とす。

 本当、罪作りな男だ。

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