お見合い相手はエリート同期

「おめでとう!!」

 にわかに澤口がいるテーブルが盛り上がった。
 何に盛り上がっているのか……。
 気になるのに最終宣告を聞くような気持ちにもなった。

 マイクまで用意した幹事の人が、耳を塞いでいたい報告を発表した。

「同期の星。澤口恭一。
 社長賞を取った上に人生の伴侶となる人まで捕まえたそうです。」

 ワァーッと拍手を送る人達。
 澤口を狙っていた子達も残念がりつつもみんな微笑んで拍手を向けた。

 私も胸の痛みを感じながらも拍手を向ける。

「ほら。澤口。なんか話せよ。」

 マイクを渡されて渋々立ち上がった澤口が話し始めた。

 その声は簡単に私を捕らえて胸を切なくさせる。
 遠くてもその立ち姿は素敵で、本当嫌になる。

「なんか。照れるな。」

 そう言いながらも凛々しい顔をさせて前を向く姿は様になっていて、やっぱりこういう立場が似合う人なんだと住む世界の違いをまざまざと見せつけられた気がした。

「お陰様で社長賞をいただけて身に余る光栄です。と、言いたいところだけど、当然の結果だな。」

 周りからはドッと笑いが漏れる。
 澤口らしいというか、なんというか。

「よっ!同期期待の星!」なんて声が上がって会場は異様な盛り上がりを見せている。
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