お見合い相手はエリート同期

「これでどう頑張ってもダメ男にはなれないだろう?」

 ダメ男………。
 公衆の面前で私への嫌味?

 同期の人達もざわざわしている。

 馬鹿だな。
 こんな席で私へ嫌味なんて言わなくても十分ダメージを与えられているのに。

「その為に頑張ったんだ。
 社長賞を取るのは当然の結果だ。」

 その為ってなんの為?

 私へ「俺みたいないい男を振ってさぞ後悔してるだろ?」とでも言いたいわけ?

 ううん。それさえもきっと自惚れだ。
 澤口は私のことなんて微塵も気にしていない。

 その証拠につらつらと私には言ってくれなかったことを口にする。

「半年を目処に海外へ戻るつもりだ。」

 あぁ……。だから。

 私へ半年と言ったのは、澤口の中で決まっていた海外へ戻る目標とする期限だったんだ。

 他の同期の人達と同じタイミングで聞かされるようなそんな関係。
 胸が抉られるようにつらくなって顔を俯かせた。

 半年……あっという間だ。
 私とは結局1週間だったけど。

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