お見合い相手はエリート同期

 澤口はため息を吐いて画面上を指した。

「ここ。よく見てみろよ。」

 女の子は何か証書を持っていて……。
 澤口は名前のところを指している。

 氏名 澤口、、若菜。

「澤口?」

「妹だよ。妹。」

 力が抜けて再び力なく澤口の胸元に顔をうずめた。

「ったく。どこまでネタバラシしたら信じてくれる?
 俺は妹くらいにしか頼む女がいないダサい男なの。
 分かる?」

 そんなわけない。そんなわけないのに。

「好きなのは朱音だけだ。」

 囁く言葉は甘くて胸がキュッとつかまれる。
 顔は熱くて堪らないのに、戸惑いの方が大きい。

「だって、そんなこと一言も言ってくれなくて……。
 全然言葉の意味が飲み込めない……。」

 ため息を吐く澤口はいつもみたいに呆れた声で言う。

「散々騙されてきた朱音に口先だけで言ったところで。」

「それは、そう、だけど。」

「だから俺は態度で表す。」

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