お見合い相手はエリート同期
「シャワー先に浴びる?
前はそんな余裕もなかったよな。」
クスリと笑う澤口が憎らしい。
平然とそういうこと言わないでよ!
文句は悔しくて口を出ていってくれないから私も平静を装って言う。
「ゆっくり湯船に浸かってくる。
酔いが醒めちゃったわ。」
酔いが醒めたのは本当。
一気に色んなことが起こって。
飲めないお酒を飲んでみても気持ちよく酔えたわけじゃないけど。
やけ酒でもして忘れるつもりだった。
「弱いんだから飲んじゃダメだろ?
今日は、、やめとくか?」
「……え?」
「何か期待した?」
「それは、、……。」
またからかうつもり?
抱きたいって抱き締めるの方だけど?とでも言うわけ?
そう訝る視線を向けようとした先で澤口が顔を崩して微笑んだ。
いつもの「フッ」という笑いを漏らして。
「……俺は、期待してる。」
「……ッ。お酒飲んだ後はしないって。」
優しいだけじゃない色気を含んだキスを落として吐息を漏らされて翻弄される。
2人のキスがお酒の味じゃ嫌だって……。
私にはそんなこと関係ないくらい澤口とのキスは溶けてしまいそうで……。