お見合い相手はエリート同期
「はい。時間切れ。」
意地悪な顔をした澤口へ小さく告げた。
「入る、、一緒に。」
「は?」
澤口の天地がひっくり返ったような声を聞いても自分の言葉を撤回できなかった。
「一緒にいたい。
もう片時も離れたくない……。」
「バッ……馬鹿。お前……。」
離れた距離を埋めるように澤口に抱きついた。
息を飲んだ澤口がグッと押し戻す。
「ダメだ。俺がダメ。」
「どうして?」
からかったくせに。
いつもからかうくせに。
本心を漏らしたらもうダメだった。
本当は片時も離れたくなかった。
あの時だって。
そして今も。
潤んだ瞳を向けると澤口が声を詰まらせた。
「……ッ。手加減、出来なくなる。」
「………え。」
「いいから行ってこいよ。待ってる。」
頭にキスされて送り出されて、必要以上に体を火照らされた私は1人バスルームへ向かった。