お見合い相手はエリート同期
「朱音?まだ寝てるっていうのなら起こさせるけど?」
意地悪な声を聞いて体を固くすると何かを操作した澤口の後に大きな機械音が続いた。
何事かと澤口にしがみつくとそんな私を抱き寄せて「上、見てみな」と優しく言った。
「わぁ……。」
天井がガラス張りに変わって今にも落ちて来そうな星空が頭上に広がる。
「フッ。起きた?」
「もう。意地悪。」
頬を膨らませると顔を見合わせて笑い合う。
そして2人で星空を見上げた。
「ウユニ塩湖の鏡張りの景色。
朱音とならいつか一緒に見られるだろうな。」
「澤口……。」
澤口の横顔を見つめて胸がいっぱいになる。
だからここに連れてきてくれたの?
あのウユニ塩湖を思わせる綺麗な星空を見せる為に。
「で?朱音は誰のことをどう思ってるんだっけ?」
わざとらしく聞かれて「さわ…」と口にすると唇をキスで塞がれた。
「ん?もう一回やり直す?」
「もう。…………恭一?」
「うん。」
「好き…だよ。」
「あぁ。俺も。」
抱き締めて頭にキスを落とした澤口が体を離して私と向き合った。
真剣な表情にこちらにも緊張が伝わる。
「朱音。俺と、結婚してくれませんか?」
改めて言われても鼻の奥がツンと痛くなって涙がこぼれた。
「………はい。」
涙で濡れる声で返事をすると「泣くなよ」と頬を拭ってくれた。