お見合い相手はエリート同期
指輪の箱を渡されて「開けるなよ」と忠告される。
「どうして?」
「空っぽだから。」
「え……。」
「急だったから用意できなかったというのは言い訳で、朱音に選んでもらいたかったって理由じゃダメ?」
「いい、けど。」
「やっぱり指輪のないプロポーズじゃダメか。」
ため息混じりに頭をかく澤口に慌てて訂正する。
「そんなことないよ。
現実味がまだなくて夢の中みたいで……。」
「現実だって嫌でも思わせる。」
隠そうとしない色気にあてられて、お互いに求めるようにキスをする。
どちらともなく確かめ合うように触れ合って深く溺れていくようにベッドへ体を沈ませた。