お見合い相手はエリート同期

 次の日になると朝食が用意されていて出張シェフのような人が作ってくれたらしかった。

「持つべきものは金持ちの同期だな。」

「どういうこと?」

「ここ、小倉家の別荘。」

「小倉くん!?」

 あの穏やかでちょっとお調子者で、人畜無害な感じの小倉くん??

「小倉にここを借りたかったから朱音を紹介するはめになったってわけ。」

 そっか……。そういう…。

「小倉って、あぁ見えてお坊ちゃん。」

「あぁ見えてって失礼じゃない?」

「納得しかけたくせに。」

「……まぁそうなんだけど。」

 2人、顔を見合わせて笑い合う。
 穏やかな朝がなんだか夢のようだ。

「選ぶ人、間違えたって思った?」

 もう見慣れてしまった意地悪な顔を向けられて、よほどほうけた顔をしていたみたいで「本気でそう思った?」と顔を覗き込まれた。

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