お見合い相手はエリート同期
「小倉くんにビックリしただけで。」
「朱音は自分に自信さえ持てば小倉くらいの奴、捕まえれると思うけど?」
「澤口で手一杯です。」
「それ、褒めてないだろ。」
「褒めてますよ〜。
澤口くんはイケメンですし?」
「完全に馬鹿にしてる。」
不貞腐れる澤口にますます笑う。
「してない。してない。
イケメン過ぎて不安になる。」
「アホか。」
本当……なのにな。
無自覚なの?こんなにイケメンなのに。
「俺、見掛け倒しだったろ。」
「黙ってればカッコイイ?」
「そう。それ。
言われ慣れてなんとも思わない。」
「じゃ黙ってて?」
「お前!」
「嘘。嘘だってば。」
拗ねてしまったような澤口が意外でクスクス笑う。
「なんだよ。笑うなよ。」
「だって。私は澤口みたいな人の隣に立つのが自分でいいのか不安で、ダメ男収集家って言われてたし、だから……。」
「だから自ら身を引いた。
俺のこと大好きなのにな。」
「……ッ。自分で言わないでよ。」
「朱音が言わないから自分で言うんだろ?
ほら。山は冷えるからもっとちゃんと上着を着なきゃダメだろ。」
そう言いながら肩からずり落ちているストールをかけ直してくれた。
捻くれてて、それなのに優しくて。