お見合い相手はエリート同期
「本当は、外でするような奴って頭悪い気がして馬鹿にしてたんだけど。」
「………澤口らしい感想。」
私の言葉に「フッ」と澤口は息を漏らす。
「それよりキスしたい気持ちの方が優ったから。」
私だって道の往来でどんな会話をしてるんだって思う。
それなのに「馬鹿じゃないの?」って言えない自分がいた。
ライトアップされている街路樹の並木道を歩く恋人達。
宿り木の下でキスをするみたいに道行く人の群れから外れて街路樹の近くでキスしている人もちらほらいる。
クリスマスイブの雰囲気にのぼせ上がる恋人達は、いつもの私なら視界に入れないように足早に去っていく光景。