お見合い相手はエリート同期

 仕事を終えて歩く、帰り道とは違う方向へと続く道。

 気の早いライトアップがされ始めている街並みは一足先に年末へ向けての準備が進んでいるようだった。
 どこか浮き足立つ装いはいつも私を置き去りに楽しげでため息しか出ない。

 本格的な寒さはまだだけれど日に日に寒さが増す11月中旬。

 クリスマスに年末に、バレンタイン。
 これから続くイベント目白押しな日々に今年こそは幸せな側でいたかった。



 岡本課長へは完成した図面に小さな付箋をつけた。

『残念ながら都合が悪くて。
 せっかく誘っていただいたのに申し訳ありません。』

 社内恋愛なんて面倒なことしたくない。
 密かに温めてきた想い。

 だから……。
 ここで岡本課長を選べなかった。

 澤口も社内には変わりないけど、今日でハッキリさせる為に会うんだ。

『社内のしかも嫌いな同期との見合い』という間違ったシナリオから『無難な見合い相手との結婚』という当初の正しいシナリオへと舵を切る為に。

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