お見合い相手はエリート同期
「どうした?」
呑気な顔をしている……ううん。呑気っていうより整った顔立ちで飄々としている澤口が余計に憎たらしく思えた。
「半年でしょ?半年。
半年したら海外に行くんだよね?
それなのにマンション買っちゃうわけ?」
「俺、海外に行くなんて言った?」
「………はい?」
「というより、お前はその話どこで聞いたんだよ。」
急に異次元の澤口と話している気さえしてきて、時空が歪んでるわけ?と根底から疑いたくなる。
「だって澤口が……同期会の時。」
「あぁ。あれは朱音がそう思ってるだろうなって思ったから。」
「はい?」
「そう思ったきっかけは?
どうせ誰かに変なこと吹き込まれたんだろ。」
変なことって………。
「海外赴任したいから海外へついてきてくれる嫁を探していたんでしょ?」
「だからそれを誰に。」
「澤口の部長が……。」
「あのタヌキ……。」
澤口の部長もタヌキって呼ばれてるんだとクスリと笑う。
「笑いごとじゃないだろ。」
じろりと睨まれて「ごめんなさい」と謝った。