お見合い相手はエリート同期
「やっぱり朱音は男をダメにさせるのかな。」
「え……どういう……。」
意地悪な視線を向けられて言葉を詰まらせた。
「海外に戻りたかったけど、朱音が側にいてくれたらそれでいいかって思えてるから。」
「何を……言って…………。」
澤口は海外へ戻るべき有能な人材で。
だから私は澤口に相応しくないんじゃないかって悩んでた。
澤口に認めてもらいたくて登山やジムにも通い始めて海外赴任に必要な資格も勉強中で……。
「海外赴任は朱音に比べればどうでもいいってこと。
朱音に仕事を辞めさせてまでついて来いって言うつもりはなかったから話さなかっただけで。」
「嘘……。」
「うん。嘘。って言って欲しい?」
「それは………。」
じゃ私は何に悩んでいたというの?
「何?海外へ行かないような俺は嫌い?」
「そうじゃ、ないけど。」
「海外だけじゃないだろ。仕事。
こっちでの仕事だってやり甲斐は感じてる。」
へなへなと力が抜けてその場に座り込むと私の隣へしゃがんだ澤口が頭を小突く。
「だから突っ走る前に俺に甘えて?
泣きつけばいいだろ?
1人でどうにかしようとするなよ。」
「だって……。」