お見合い相手はエリート同期
29.未来へ向けて
「緊張し過ぎ。」
「だって〜。」
今日は澤口のご実家へ挨拶に来ている。
澤口はうちへの挨拶は済ませていた。
緊張するなんて言っておいて涼しい顔をして「朱音さんと結婚を前提にお付き合いさせてもらっています」だとか「結婚して必ず幸せにします」だとか口にした。
お母さんはもちろん大喜びして、お父さんも声を詰まらせつつ「朱音を頼むぞ」と言ってくれた。
そつなくこなした澤口を恨めしく思いながら、今日は逆の立場になるわけで。
澤口のことを何も知らなくて不安に思っていたのに、2人の間柄は着々と結婚へと向かっている。
澤口の好みから想定して控えめなワンピースに、もちろん化粧も控えめにして上品な感じで整えてきた。
会った時の澤口は「フッ」と笑っておいて「可愛い」と一応は褒めてくれた。