お見合い相手はエリート同期
『至極の天空へ貴方をいざないます』
謳い文句通りの絶景に息を飲む。
特殊ガラスで造られた窓際の席はまるで夜空の真ん中にいるようだった。
足元でさえもガラス張りの席は怖いくらいに綺麗で。
宝石が散りばめられたような夜景を眼下に望む、女性なら誰もが羨む席に私は恐れ多くも腰を下ろした。
「気に入った?」
澤口が後から席に来たことにも気付かないくらいに夜景に目を奪われていた。
『Celeste』天空の名にふさわしいお店。
いつか大切な人と来れたらいいなって夢見ていたお店。
感動は……ついしてしまったけど、こんなところへ簡単に連れてきてしまう澤口が妬ましかった。
どれほど……遊んできたのかな。
数えきれないだろうな。
言い寄らなくとも嫌でも寄ってくるだろうから。
「よく7時に上がれたな。」
「お互い様でしょう?」
ネクタイを軽く緩めた澤口が「フッ」と息を吐いて私の前に置かれていたメニューをパラパラとめくった。
こういう脈絡のある小さな笑いならいいのよ。
………澤口と普通の会話も出来るものなのね。
変な感心をしていると澤口が目頭を押さえている姿が目に映った。