お見合い相手はエリート同期

「これで晴れて名実共に婚約者だな。」

 婚約者という響きがくすぐったくて曖昧な笑みを向ける。

「泊まっていって」と言ってくれる澤口のお母さんのご厚意を澤口が断ってくれて帰路につく。

「ゆっくり慣れていけばいいから」といたわりの言葉を向けてくれる澤口に有り難い気持ちだった。

「朱音が緊張してるから帰るって、口実だって知ってた?」

「え……。どういうこと?」

「早く2人っきりになってイチャつきたいってこと。」

「もう。」

 最近は当たり前になりつつある繋いだ手を引き寄せて澤口の胸の中へ不時着させられた。

 所構わず甘い雰囲気を向けられても幸せを感じてしまう今日この頃は確実に幸せボケしてると思う。

「当分はいいかな。」

「何が?」

「ん?子ども。
 2人の仲を邪魔されたくない。」

「澤口に似た子なら絶対に可愛いのに。」

 澤口ならいいパパになるだろうなって想像できる。
 想像の中でパパをしている姿が微笑ましくなって私も澤口へ腕を回した。

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