お見合い相手はエリート同期
イケメンの好青年……。
「フッ。もしかして気づいてない?
というより忘れられてる?」
人を小馬鹿にしたようなセリフ運びに悪夢が蘇る。
「………ッ。海外、、赴任、してたんじゃ。」
芝居掛かったように目を見開いて彼は驚いた口調で言う。
「へぇ。知っててくれたとは光栄だね。」
思ってもないくせに!
私の前で胡散臭い顔をして立つのは澤口恭一。
高身長で確かにイケメンかもしれないけど、私の天敵とも言える同期だ。
ソファに置いていたバッグを取ると呆れたような忘れもしない澤口の気に触る声が掛けられた。
「どうした?まさか帰らないよな?」
青天の霹靂とはこのことだ。
逆に帰らないという選択肢以外に何があるのか聞きたい。
「まぁ座れよ。立っていてもなんだろ?」
促され渋々それに従った。
高級ホテルじゃなかったら罵詈雑言を浴びせて帰ってやったのに。
それでもせめてもの反撃に声を落として反論した。
「これはお見合いよ?
澤口と私がどうこうなるなんて想像出来る?」
曲がりなりにもお見合いだ。
遊びじゃない。
「フッ。」
ただ息を吐いただけ。
それなのにひどく気持ちを逆撫でさせた。
たった1つの行動だけで人を苛立たせる澤口をある意味尊敬する。