お見合い相手はエリート同期
「俺は朱音に聞いている。」
答えるとは思っていなかったけど。
有無を言わさない雰囲気にグッと言葉を飲み込んだ。
見合いに求めてるもの……って。
見合い相手、本人に言っていいもの?
……澤口とはどうこうなる予定はないし、言った方が気は楽かもしれない。
私は意を決して思いの丈をぶつけた。
「無難な……結婚出来る人?」
いつもの馬鹿にした笑いを漏らされるか、ため息を吐かれるかの、二択しかないと思っていたのに想像していた反応と違っていた。
特にいい反応とも思えないけれど。
「ハハッ。何だよそれ。
……ま、俺も遠からずってとこか。」
澤口も、無難な人を探してるわけ?
何も宙ぶらりんの無難な人を探さなくても周りにたくさんいる可愛らしい人を選べばいいのに。
「澤口なら女に困らないでしょ?
見合いに頼らなくたって……。」
「困らないが……困らないことに困ってると言うべきか。」
言葉を詰まらせて何ともハッキリしない。