お見合い相手はエリート同期
「疲れてるだろ?帰った方がいい。
人の心配する暇あったら自分を労わったらどうだ。」
「疲れ、て?」
「笑い顔が引きつってる。」
指摘されて顔に手を当てた。
引きつっていただろうか。
もしそうであるなら疲れというより、澤口のせいだと思うのだけれど。
不可解な顔をしていたようで重ねて言われた。
「疲れてると引きつった顔の笑いになる。
朱音のこと、何でも知ってるって言ったろ?」
当たり前のように言われて澤口を仰ぎ見る。
整った顔立ちは何を考えているのか心の中を窺い知ることは出来ない。
「送ってくれなくても平気。
まだ時間も早いし。」
「そ、じゃ連絡先。」
言われるがまま連絡先を交換して駅で別れた。
断る……つもりだったのにな。
電車に揺られ、ぼんやりとそんなことを思った。