お見合い相手はエリート同期
入社が1つ上の先輩で、学部卒の私と院卒の筒井さんの歳の差はストレートなら3年だ。
30手前の男性を……自分が小学生の頃ならオジサン呼ばわりだったかもなぁとため息が出そうになる。
「やっぱり教育って大切ですね。」
教育の賜物だ。
自分が子どもの頃なら社会人全般がオジサン、オバサンだ。
私も、、小学生から見たら立派なオバサンよ。
「高橋さんにしみじみ『教育のおかげ』みたいに言われるとさすがにショックだなぁ。」
「あ、嫌だ。ごめんなさい。
違うんですよ?筒井さんは若いですよ。」
「んんっ。」
咳払いをされて振り向くと朝の混み合ったエレベーター前。
少し離れた後方の人とバッチリと目が合った。
うわっ。澤口………。
向こうはわざとらしい咳払いまでして、
うるさい。馬鹿高橋が!
とでも言いたげだ。
辟易しつつ筒井さんの方へ向き直ると筒井さんは肩を竦めてみせた。
その姿がなんともいじらしくて筒井さんは大人だなぁと感服する。
澤口に聞こえないように「なんだよ。アレ」って愚痴ることも出来るのに。
澤口への軽い苛立ちは筒井さんの癒される行動に浄化されて心が軽くなった。