お見合い相手はエリート同期

「どうした?本当に体調悪い?」

「いえ。そういうわけじゃ……。」

 知らぬ間に詰められていた距離にギクリとして後退ると何かにぶつかった。

 あれ?休憩室出口のここは曲がり角で……。
 壁にぶつかるほど後退ってはないはずで………。

「申し訳ないんですけど。
 これ俺のなんですよね。」

 これって、、どれ?

 耳元で言われた声は低くてうっとりする声で。
 声だけで誰かが分かってしまう自分が恨めしい。

 澤口……が、どうしてここに?

 腕を首元に回されて、そのまま抱き寄せられた体は頭が正常に回らない。

 それなのに澤口からいい匂いがしてクラクラする。
 嗅覚と触れている肌全てが敏感になって鼓動が速まるのを感じた。

「俺のって付き合ってるってこと?
 それとも澤口くんが狙ってるからという牽制?」

 なんの会話?
 これじゃ王子様の2人が私のことを取り合っているみたいに聞こえる。

 澤口は私にしか聞こえない音量で「フッ」と笑いを吐いた。

「付き合っている以上の関係です。」

 付き合ってる以上ってどんなの?

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