お見合い相手はエリート同期

 澤口は何も言わずに私の頭を優しく撫でた。

 澤口の優しい手が涙を余計に助長する。

「今回、、だけじゃない。
 いつもいつも知らなかったわ。
 ギャンブルで多額の借金があることも。
 女が私以外に数え切れないほどいることも。
 みんな、みんな………。」

 みんな最初はいい人なのに。
 どうして私だけ……。なんで?

「誰も教えてくれないもの。
 朱音のこと幸せにするとか、お前だけだよって言われたこと信じちゃダメなの?」

 嗚咽混じりの泣き声を漏らしてしゃがみこんだ。
 
 澤口は何も言わずにただただ側にいてくれた。

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