お見合い相手はエリート同期
いつもと変わらない味気ない毎日は繰り返しやってくる。
朝起きて顔を洗い、軽く朝食を摂り、メイクに髪のセット、変わり映えしない服を着て。
昨日、変われると思ったのに。
いつもより入念にメイクを施し、いつもより華やかな服を選んだ。
靴もいつもは履かない7センチのヒールのものを選んだ。
7センチヒールは脚を一番綺麗に見せてエレガントな女性を演出できる、らしい。
カツカツとヒールの音を響かせて歩くのもなかなか気持ち良かった。
ただ、これを履くと170センチ近くになってしまうのは致し方ない。
一切の妥協はしないと心に決めていた。
それを、澤口は軽々と飛び越えては来た。
それがまた悔しい。
同期だから嫌でも知っている。
同期もたくさんいるからそこまでの関わりはなかったけれど、何より澤口は目立っていた。
180センチを超える高身長や、整った顔立ちやら何やらもさることながら、嫌味なくらい仕事も出来るらしく。
同期期待の星とまで言われていた。
期待の星と言われるだけあって早々に海外赴任をして、日本に居なかったはずだ。
澤口の帰国は安穏とした生活に影を落とす事態になり兼ねない。
変わり映えしない毎日に変化を望んではいたけれど、望んでいたのはこんな変化じゃない。