お見合い相手はエリート同期
12.打ち上げと定例会議

 担当するプロジェクトチームの大詰めで集められた会議室でぼんやりと手の中の資料を見つめる。

 手の届く理想『IDEAL 』

 躍動感あふれる車のイメージ画像が資料の表紙を飾っている。

 手の届く…かぁ。
 私の手が届く理想ってなんだろう……。

 澤口のせいで顔が違うことをヒソヒソと話されるのは気にしないことにした。

 ヒソヒソ噂されるのは『男を見る目がない』だとか『ダメ男好き』だとかずっと前から言われ慣れていた。

「あれ。今日は雰囲気違うんだね。」

 私の隣に腰掛けた筒井さんが朗らかに微笑んだ。
 陰で言わずに面と向かって言ってくれる人にどれだけ救われるか。

「えぇ。少しばかりイメージを変えてみたんです。」

 それでも男に言われたからなんて口が裂けても言えない。
 本当に、なんで私もいうこと聞いてるんだか。

 微笑んでいた筒井さんは口元に手を添えて声を落とすと、とんでもないことを口にした。

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