お見合い相手はエリート同期

「俺、今の高橋さん好きだな。」

「え……。」

 目を丸くすると筒井さんは言葉を詰まらせている。

「いや、、あの。うん。
 言葉のままとってもらっても構わないよ。」

 言葉のままって、何が?

 周りのざわざわする声の中で、筒井さんの気持ちが読み取れない。

「さぁ。時間になったので始めます。」

 定刻になり会議が始まってしまい、深く追求することは出来なくなってしまった。


 会議が終わると筒井さんの中で今イチ押しの甥っ子くんの話を聞きながら部署に戻る。

「『つまらない』の逆のことを『つまる』って言うんだ。
 なるほどなぁって感心してしまったよ。」

「小さい子の発想って面白いですね。」

 さっきの話はタイミングを逃してしまって聞きそびれてしまった。

 どういう意味ですか?って。

 職場に戻る道はこんな時に限って澤口の部署の近くを通る。

 別に浮気をしたわけではない。
 そもそも澤口と私との関係は曖昧だし。
 筒井さんからは本当に好意を示されたのかさえも怪しい。
 だから後ろめたく思う必要はないのだけれど。

 そう思いつつも、視線は澤口を探して彷徨った。
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