お見合い相手はエリート同期

「お前、会社で隠したいからって会った時に挨拶くらいしろよ。」

 何?その彼氏面は。

「気付いていらっしゃらないのかと思いまして。」

「何?その他人行儀な口調。
 キモイんだけど。」

「そっちこそ、さっきと全然口調が違いますけど?」

「フッ」と電話でもいつもの笑い声を聞いて、ますます辟易する。

「場所を移動したから。
 席のままこの調子で話してもいいって言うなら話すけど?」

「別に私は困らないですけど?」

 困るのはそっちでしょ?
 まだ仕事中みたいだし。

 仕事中でも電話をかけてくるんだって胸が高鳴らないわけでもないけど、今はそんな風には思えない。

「なんだよ。ご機嫌斜めなんだな。
 今朝のキスじゃ物足りなかった?」

「なっ………。馬鹿なこと言わないで!」

 何を言っちゃってるの?こいつは。
 そんなこと、こっちはとっくの昔に記憶から抹消済みだっていうのに!

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