お見合い相手はエリート同期

 ただ血迷っただけでしょ!
 もしくはからかっただけ。

 あぁ。
 からかいが執拗に続いていたってだけね。

「俺ももう帰るから。
 近くのコンビニにでもいろよ。」

「嫌よ。もう遅いもの。帰るわ。」

「帰るなよ。会わせたい奴がいる。」

「帰るなよ」に甘い響きを感じて頭を振る。
 私、やっぱりどうかしてる。

「もし帰ったら明日からは朱音の部署まで迎えに行くからな。」

 定時きっかりに澤口がわざとらしく「朱音……いえ、高橋さんを呼んでもらえませんか?」って言うところを想像して身震いをする。

「分かったわよ!
 待てばいいんでしょ!待てば。」

「あぁ。よろしく。じゃまた後で。」

 切れた電話に向かってひとりごちる。

「本当に、何を考えてるのよ。」

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