お見合い相手はエリート同期

「まだ何か?」

 不信感を露わにして隠そうともしない私に岡本課長は楽しそうに笑う。

「高橋さんも澤口に毒されちゃったの?」

 毒された?
 今朝の私は解毒されたらしいですけどね。

「化粧まで変えちゃって。
 澤口なんかに本気になっても所詮遊びに決まってるだろ?」

 あなたに言われたくありません。
 口先まで出かかっている罵詈雑言はかろうじて飲み込んで微笑みを浮かべた。

「ご忠告ありがとうございます。」

 同じ土俵の上で争いたくない。
 こんな奴と同等になってたまるか。

「彼と、どういうご関係で?」

「澤口と、俺が?」

『彼』と親しそうに呼ぶ。
 僅かでも岡本課長に気があっただなんて微塵も感じて欲しくない。

 わざとらしく考えるポーズをした岡本課長に「教えて欲しいのなら、また今度教えてあげるよ」ともったいぶった言い方をされて、虫唾が走るようだった。

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