お見合い相手はエリート同期
澤口は楽しそうな知世と並んで私達の先を歩く。
「澤口、照れてる。」
「は?そんなわけ……。」
小倉くんの視線の先には知世と楽しそうに話す澤口。
「あぁ。知世、可愛いから。」
「違う。違う。
俺へ紹介したいって言われたのは高橋さんだったよ。
たぶん、俺の前で高橋さんと仲良くするのは恥ずかしいんだと思う。」
嘘……そんな……。
うん。きっと違う。
私と話さないのは私が会社では澤口との関係を隠したいって言ったせいだ。
澤口はそれを律儀に守っていて……。
「高橋さん?俺、何か変なこと言った?」
「え、ううん。そんなことないけど…。」
歯切れの悪い返事を返すと笑われた。
「澤口はイケメンをこじらせてるからね。」
イケメンを……。
「イケメンってこじらせられたかしら。」
「ハハッ。高橋さんって面白い人だね。」
小倉くんは人好きのしそうな笑顔を向ける。
左薬指には指輪をしていた。
確か大学の頃からの彼女と同期の中でも早くに結婚した方の人だ。
いい人だなぁって思う人ってどうしてこう他人のモノなんだろうなぁ。