お見合い相手はエリート同期

 小倉くんが好きなタイプってわけじゃないけど。

 きっと小倉くんみたいな人と結婚したら穏やかな結婚生活が送れると思う。

「高橋は何が食いたい?」

 振り返った澤口が私へ聞いてきた。

 高橋……ね。
 どうでもいい部分が引っかかる。

 このメンバーに隠すことないのに。

「おーい。さわぐっちゃん。
 俺へは聞いてくれないわけ〜?」

「小倉はなんでも食えるだろ。」

「高橋さんだけ特別扱いなんですけどー。」

 戯れ合う2人をぼんやり眺めて、私は澤口のこと本当に何も知らないんだなぁと改めて目の当たりにした気がした。

「………おいっ!ッ朱音!!」

 手を引かれ、体が傾いて澤口の体にぶつかった。
 目の前を車が走っていく。

 信号。赤だったんだ。

「何、ボケッとしてるんだ。
 轢かれたいのかよ。」

「ご、ごめん。ぼんやりしてて。」

「……ったく。」

 頭にぽんぽんと手を置かれ、抱きつきたい衝動に駆られる。

 ビックリしたのと、なんだかごちゃ混ぜのよく分からない感情。

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