お見合い相手はエリート同期
「わぁ。ラブラブ〜。」
知世のからかいの声を聞いて我に返る。
そうだった。2人もいたんだ。
「本当だよな〜。
俺らの前でも『朱音』だって〜。」
「うるせぇ。だから嫌なんだよ。」
髪をかき上げてクシャリとさせた澤口は信号の変わった横断歩道を歩いて行ってしまう。
「待てよ。澤口。」
小倉くんは澤口を追いかけていく。
知世は再びぼんやりしている私に声をかけた。
「ほら。行こう?置いてかれちゃうよ?」
私も慌てて駆けて先を行ってしまう澤口を追いかけた。