お見合い相手はエリート同期

 今日は電車に乗り、指定されたカフェに来ていた。
 終わったらそこで待っていて。と、指定されたのだ。

『8時には上がるつもり。
 食事は一緒にとりたい。』

 簡潔なメールは澤口らしい。

 お昼休みの別れ際に携帯の方にメールするから休憩時間にでも確認してと言われた。
 知世達に冷やかされるのは勘弁被りたかったけど。

 自分も8時までかかってしまって、慌てて電車に飛び乗った。
 携帯を開くと『まだ少しかかるかも』とメールが入っていた。

『いいよ。気にしないで。
 私も終わったところ。』

 メールを送ってホッと息をつく。

 なんだかんだ毎日会ってるなぁ。

 少しずつ心の距離は近づいているような気はするけど……。
 澤口は必要以上に触れてこない。

 キスも本当にあの一回きり。
 大人の関係になるチャンスなんて何度もあったのに、そういう関係にもならない。

 一気に色んなことが起こってるからあれだけど、まだ澤口と見合いをして一週間も経ってないものね。
 これじゃ私が早く澤口とそうなりたいみたいだ。

 頭を振って邪心を追い出す。

 澤口が何を考えているのか、いまいち分からないけれど。
 私だって澤口のことを好きになったりしない。

 形だけの結婚が出来ればそれでいいんだ。

< 87 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop