お見合い相手はエリート同期
澤口はカフェからほど近いお洒落なバーのドアを押した。
「いらっしゃいませ。
おう。恭一。久しぶりだな。
日本に帰ってたのか。」
「あぁ。まぁな。」
私に視線を移したバーテンダーらしき人は澤口に目配せして、それから拳を向けて体に軽く当てる。
「なんだよ。
連れてくるなら一言、言っとけよ。」
「連れてきたんだから文句を言うな。」
私の前へ一歩、歩み寄ったその人を澤口が紹介してくれた。
「本山透。昔からのツレでここのバーのオーナー兼バーテンダーをしてる。」
「オーナー……。すごいですね。」
「ありがとう。」
大人っぽい微笑みを向けられてドギマギしてしまう。
透さんは澤口とはまた違った魅力的な人で、妖艶な感じが色気を醸し出していた。
「こちらは高橋朱音。会社の同期。」
「へぇ。じゃ同じ歳。
可愛らしいから若い子に手を出したのかと心配したよ。」
だから化粧、頑張ってたんですけどね。
とは、言わないでおいた。